2017年4月のことです。
ご両親の施設入所をきっかけに実家の片付けをご依頼いただいたのですが、私が外に出るとパッカー車(ゴミ収集車)のすぐ側に、何やら古〜い可愛らしいオルガンが・・・。
パッカー車でバキバキに巻いてしまう寸前を救出し、いくらかで売れるのではないかとご依頼主さまの元にお返ししました。
片付け作業完了後・・・なんと、「丁寧に片付けてくれたから」と、お父様のご了解を得てオルガンをくださいました。
その後、分解清掃をして綺麗にした写真をブログにもアップしました。
https://kataduke-tonton.com/voice/13480/
涙ぐみながら私たちと一緒に片付けてくださったお嬢様のことを思い出す特別なオルガンです。
金魚オルガンって何?
ヤマハ製の古い足踏みオルガン(リードオルガン)です。
横から見ると金魚のような形をしていることから、「金魚オルガン」という愛称でも呼ばれています。
側面には取っ手があり、一人で簡単に持ち運ぶことができます。
2つのペダルを交互に踏んで空気を送り込み、リード(金属板)を振動させることにより音が鳴る構造ですが、空気を溜めておく袋が破れていて音が出ません。
また、鍵盤の高さがガタガタなので、修復が必要です。
金魚オルガンを探している方から電話があった
2019年5月のある日、宮城県のMさんからお電話が・・・
「金魚オルガン」が欲しくて,様々な方法で数ヶ月に渡ってPCで検索したり,自分で足を運んで楽器を見に行ったりなどしておりましたところ,片付けトントンの画像が出てきて,早速お電話差し上げた次第です。
教会の小さな集会に持っていって弾きたいとのご意向でした。
製造番号をお伝えしたところ、なんと大正時代(約100年前)に作られたオルガンだということがわかりました。
私の妻は趣味でキーボードを弾いているので、欲しいかどうか聞いてみると、「足踏みオルガンはいらん」そうです。
妻の反応とは大違いの熱意溢れるメールがMさんから届きました・・・
模様も前面・側面・背面共にきれいですね!ペダルも,柄がまだまだ残っていますし,全体の保存状況も素晴らしいです。本当に丁寧に使われていたオルガンだと思います。(中略)見れば見るほど,このオルガン,欲しいです。
修復は必要なものの、外観の程度が良いので2万円くらいでお譲りしようとも思ったのですが、デリケートな楽器の配送料って、とても高いんです。
会社で眠らせておくよりも、修復して使っていただける方の手元に旅立った方がオルガンも幸せに違いないと思い、無料でお譲りすることにしました。
金魚オルガンの旅立ち
2019年6月5日に配送会社が来て、いよいよ旅立ちです。
思い出の品だったので、ちょっと切ないような気持ちになってしまいました。
6月10日に宮城県のMさん宅に到着
喜びのメールをいただきました。
金魚オルガン、昨日、わが家に来ました。
何とも、きれいなフォルムですね〜!模様入りで、しかも、外装の無垢材のきれいさ、また、片付けトントンさんが、ピカピカに磨いてくださったので、角の部分も、中も素晴らしくきれいです。
ペダルも、室内で使ったものと思われるのですが、模様がきれいに残っています。教会などで、靴をはいて使ったものは、ペダルの革がボコボコなんですよ。
改めて、感謝申し上げます。
後日、Mさんから仙台名物をたくさん送っていただきました。
とても美味しかったです。
才気堂さんがオルガンを修復
2019年11月25日、Mさんからメールが届きました。
金魚オルガンの修理についてのお知らせです。
渡邉祐治さん(才気堂さん)にお願いすることになりました。
修理の腕前が確かな方で,私は他のオルガンも修理していただいております。
内部の修理だけでなく,外装を販売された時の新品同様に仕上げることの出来るすごい方ですが,いただいた金魚オルガンは,なかなか綺麗ですし,アンティークとしての良さを生かすためにも,内部だけの修理をお願いしました。
才気堂さん(渡邉さん)のホームページを拝見すると、「古い楽器を再起動!どんなに壊れていても直せます」と書いてあります!
鍵盤楽器の修理、ピアノの調律などのほか、本革の「手縫い名刺入れ」なども販売されています。
今回の金魚オルガンと同じタイプのものを修復した時の写真を送ってくださいました。
美しすぎます!
ペダルのビフォーアフターもご覧ください。
なんと申しましょうか、凄いです!
渡邉さんからのメールをご紹介します。
リードオルガンは、聴いて楽しむ、というより、弾いて楽しむ楽器です。
福祉施設などにピアノが寄付されても、誰も弾かない。音大を出た先生などが時々使う程度、なことが多いですが、リードオルガンは、置いてあれば老若男女誰でも弾きます。それがピアノとの決定的な違いです。(中略)是非、リードオルガンを人生を楽しくするためにご活用下さい、、、
渡邉さんが修復したオルガンたち↓↓↓
修復済オルガンの販売もしていらっしゃいます。
欲しくなっちゃいます!
また、ブログも発信していらっしゃいます。
楽器の修理だけでなく、家具のハンドメイド、スピーカーのリメイクや猫のことまで、幅広い内容で楽しめます。
渡邉さんの作ったスピーカー、とっても可愛い!(画像クリックで記事をご覧いただけます)↓↓↓
市販のスピーカーでは、絶対に出せない味わいです。
家具や革製品なども、あなたのこだわりをカタチにしてくださりそうな予感!
興味をお持ちの方は、才気堂さんにお問い合わせください。
金魚オルガン修復完了
修復中の写真も、ちょっとだけご覧ください。
Mさんのオルガン修復完了後、演奏している様子を渡邉さんがYouTubeにアップしてくださいました。
まずは、讃美歌の「いつくしみ深き」です。
森繁久弥さんの「船頭小唄」もあります。
渡邉さんは「この柔らかい音色には、人の心を何十年も前に戻す、すごい力があるんです」とおっしゃっています。
優しい演奏と柔らかな音色に感動しました。
Mさんの喜びの声
2019年12月23日、金魚オルガンはMさんの元に戻りました。
渡邉さんが、金魚オルガンを仙台まで持ってきてくれました。
見事な仕上がりです。いい音です。音量も見た目からは信じられないほど、豊かです。大事に使わせていただきます。
教会での集会などで活用させてください。この音量ですから、聖歌隊の奏楽でも、使えるかもしれません。
クリスマス直前というのも感動的です!
Mさんは「こんな小さなオルガンなのに、なんて豊かに歌えるんだろう!」とおっしゃっていました。
物を大切にするっていいな、と心の底から思います。
中日新聞朝刊折込 シニア情報紙『ローズ』2020年2月号の記事紹介
2019年1月から2020年3月まで、「実家の片付け」というテーマで連載をしました。
2020年2月号は「遺品整理は気持ちの整理」というタイトルです。
よろしかったら、次の記事もご覧ください。
片付けトントンは、生前整理や実家の片付けを承っています。まずは、お気軽にお問い合わせください。サービスエリアは愛知県内(一部地域を除く)です。
詳細は、「生前整理サービスページ」をご覧ください。