数年前のちょっと古い話ですが、「ゴミ屋敷状態で予算が決まっているんだけど、大丈夫でしょうか?」というお問い合わせをいただきました。
すぐにお見積りにお邪魔してみると、正直、お聞きしたご予算ではかなり難しそうだったのですが、ご依頼主さまのご事情に心が動かされ、なんとか上司を説得しました。
今でも、私の心に鮮明に残っている片付けのお話です。
お見積り
数年前の2月上旬のことです。
引越しを控えているので、それにあわせて部屋を片付けたい。ゴミ屋敷状態で予算が決まっているんだけど、大丈夫でしょうか?
50万くらいしか出せないのですが…
それなりの量がある場合は、やはりを実際にお部屋を拝見させていただかないと正確な金額は出せません。ご都合の良い時間をお聞きして、お見積りに伺いました。
お住まいは、4階建てアパートの1階で、「チャイムが壊れているのでノックしてほしい」とのことでした。
ご挨拶をして、お部屋の中に入らせていただきます。
玄関の足元には紙類や衣類が積み重なっていて、膝上から腰くらいまでの高さがあります。踏み固められた硬い感触があり、下の方の分別には、そこそこ手間取りそうです。
最近手術をして、松葉杖を使わないと歩けない。(積み上げられた物の上を)這って移動している。私は、あまり奥の部屋まではいけないので、玄関からリビングの中くらいまでで生活している。
かなり大変な状況です。なるべく早く片付けられたらいいな、と思いました。
奥に向かうにつれ、徐々に物の高さが増していき、リビングは平均して1m強くらいの高さがあります。ペットボトルのたくさんあるエリアに足を踏み入れると、ズブズブと足が飲み込まれていきました。このあたりの分別は簡単で、はかどりそうな感じです。
さらに、奥には二部屋ありますが、窓に近づくにつれて徐々に低くなっていき、窓際はだいたい50cmくらいの高さです。
その内の一部屋は、お嬢さまが使っていらっしゃるとのこと。壁際の棚の上には、比較的新しそうな家電や雑貨のパッケージが積み上げられていて、押し入れの中には、段ボールや古い感じの布団が見えています。
床には、服やペットボトルなどがたくさん置いてありますが、机の上には十分なスペースがあり、参考書が綺麗に並べられています。
今年高校を卒業する娘が勉強を頑張っていて、センター試験の結果も、かなり期待がもてそうな感じだった。
これから先のことも考えないといけないし、二次試験の結果次第では、この家を退去して、二人で一緒に大学の近くの市営団地に引越したいと思っている。
表面に見える7割くらいのペットボトルは、ラベルが剥がされていて、なんとかしようと努力した形跡があります。
・・・
取っておく物は、勉強道具、服と貴重品程度です。
ざっと見た感じでは、ご予算内で収めるのはかなり難しく、ここは正直にそのニュアンスをお伝えしました。
引越しや新居の敷金礼金、入学金などを考えると、本当に50万がギリギリで、他に頼れるところもなく切羽詰まっていて・・・
なかなか難しい判断が必要になりそうだったので、一度持ち帰って検討させていただくことにしました。
体調がすぐれないお母さま、独力で大学に進もうとしているお嬢さまのことを思うと、何とか協力できないものかと、帰りの車中も考えを巡らせていました。
会社に戻り、お部屋の中を思い出しながら、片付けのシミュレーションをしつつ金額を出してみます。今回の地域は、ゴミ処理場での処分費用があまりかからないとはいうものの、もろもろ計算していくと、やはりご予算をかなり上回ってしまいました。
もうこれは、ご依頼主さまのご事情なども話して、上司に掛け合うしかないな!
結果、作業している様子を撮影し、YouTubeで公開させていただくという条件ならば、先方のご予算に合わせた金額でOKということになりました。おそらく、情に訴えかける作戦が功を奏したのだと思います。
早速、ご依頼主さまにその旨をお伝えし、ご成約いただきました。
片付け作業
作業は3日間で、各日6名が出動する予定です。
初日はお嬢さまも立ち会ってくださると伺っていましたが、お部屋に到着すると、お母さまお一人しかいらっしゃいません。
実は・・・片付けのことで娘と口論になり、出て行ってしまいました。
どうやら動画を撮影させていただくというお話が、お嬢さまには伝わっていなかったようです。
そんな状況で、動画撮影をするわけにはいきません。お母さまは、申し訳なさそうにしていらっしゃいましたが、「撮影がなくても、気持ちよく新しい生活のスタートが切れるようにお手伝いしよう」とみんなの気持ちをまとめて作業を開始しました。
作業1日目の感想(日報より)
玄関付近は、郵便物など封筒に入った物が多く、大切な物が入っていないかチェックするのに時間がかかり、なかなかスピードが上がりませんでした。また、廊下は湿気により腐食し、床が一部抜けていました。
高いところで天井近くまで溜まっていたゴミや物は、さすがに一筋縄ではいきません。また、ご依頼主さまのご要望で外にゴミを溜めておくことができず、思ったほどは進みませんでした。
とにかく、地道に減らしていくしかないといった状況です。
作業2日目の感想(日報より)
ゴミが長年踏み固められていたため、はがすような感じで分別していきました。また、かなりホコリも舞っています。
途中からスタッフを2名追加してもらいましたが、リビングの床が見える状態にするまでに丸一日かかってしまい、キッチンと和室の2部屋は、ほぼ手つかずで終わってしまいました。
3日では終わらないかも?と不安になるくらいの量です。
作業3日目の感想(日報より)
すべての部屋のゴミは、出し終えました。
物がなくなり床が見えると、下地のダメージがあらわになります。床が腐っている所があったので、タンスをばらした木の板を引いて、歩けるようにしておきました。
やはり、お部屋にダメージがあるとショックだと思います。ご依頼主さまは「仕方ないよね」と、つぶやいていらっしゃいました。
3日間の予定でしたが、予想以上に時間がかかり、もう一日伸びてしまいました(もちろん追加料金はいただきません)。残りは家電の運び出しとエアコン外し、清掃、選別のお手伝いです。
作業4日目の感想(日報より)
4日目は清掃がメイン。トイレの汚れは少々手強く、時間内では完全に綺麗にすることはできませんでした。
予定よりも1日余分にかかってしまいましたが、なんとか片付け切ることができ、ホッとしました。
片付けを終えて
お母さまの記憶にあった取っておいてほしい物たちは、積み重なった物の重みや湿気で、かなりダメージを受けていました。あまり取っておけなかったのは残念でしたが、新生活にモヤモヤする物を持ち込むよりは、明らかに良い選択だったと思います。
片付けが終わった後は、お母さまの表情がすごく明るくなっていたそうです。お嬢さまとは、お話しする機会がありませんでしたが、お二人の関係は、今までよりも確実に良くなっていくだろうな、という予感がしました。
いろいろありましたが、お手伝いすることができて本当に良かったなと思います。
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