ゴミ屋敷の片付けの仕事で、ご依頼主様とお話をしたり、ゴミ屋敷になってしまう原因を調べてみたりすると、決して人ごとではないように感じます。この記事では、ゴミ屋敷の原因とその予防法について考えてみました。
ゴミを1年間捨てないと、どうなる?
1日あたりのゴミの量を国や地方自治体のホームページで調べてみると、ざっくり一人0.5〜1kgです。
仮に0.5kgとして1年間ゴミ出しをしないと、一人暮らしの場合で183kg(0.5kg x 365日)のゴミが溜まります。4人家族ならば、なんと730kgです!
なんらかの事情でゴミ出しができない日が続くと、あっという間に大変なことになってしまいそうです。
ゴミ屋敷の原因となる心理
ゴミ屋敷の原因になりそうなものを、思いつくままにリストアップしてみます。
分類の仕方がちょっと適当になってしまいましたが、ご勘弁ください。
【気持ちの持ち方によるもの】
・片付けが苦手、嫌い
・もったいなくて捨てられない
・ゴミ出しで嫌なことがあった
【家族の問題】
・家族に片付けられない人がいる
・捨てようとすると家族が怒る
【方法がわからない】
・片付け方がわからない
・ゴミの分別方法が難しい
【体力、気力に関するもの】
・高齢化や病気などで体力がなくなり、片付けられない
・普段、人のために働いていて、家に帰って自分のことをする気力が残っていない
・来客が減り、片付けの必要性を感じなくなった
【時間的な要因によるもの】
・忙しくて片付ける時間がない
・仕事が不規則、長時間にわたる
・ゴミ出し時間のルールが厳しくて、時間どおりに出せない
【障がいや病気などによるもの】
・ADHD(注意欠陥・多動性障害)で、片付けに集中できない
・認知症のため、物の管理ができない
・うつ病になってしまい、片付けられない
・セルフネグレクトで、自分のことができない
・引きこもりになり、ゴミ出しができない
・買い物依存症、ためこみ症、収集癖がある
ゴミ屋敷化は、いろいろな要因が重なって起こるものだと思いますが、絶対に自分はそうならないという保証はできそうにありません。
ゴミ屋敷になる過程をシミュレーションしてみる
ゴミ屋敷になるまでには、さまざまな過程を経ると思いますが、その一例をシミュレーションしてみます。
ゴミが捨てられなくなる
何らかの原因で可燃ゴミや資源ゴミを捨てられなくなり、玄関に置き始めます。
ゴミを溜め続ける
ゴミは毎日発生しますから、あっという間に増えていきます。玄関周辺やベランダが一杯になると、あまり使っていない部屋にゴミを溜め始めます。
ゴミが生活スペースを侵食する
このくらいの時期になると、ゴミ袋に入れるのも面倒になってきて、メインの生活場所であるリビングや寝室にもゴミが積もっていきます。
キッチン、脱衣所が使えなくなる
キッチンや脱衣所にも、ゴミが溢れていきます。
水回りにゴミを置き始めると、生活は一気に不便になります。キッチンには食べかけの食品や洗っていない食器が溢れ、料理ができなくなります。
脱衣所周辺にもゴミが溢れ、洗濯もしにくくなるでしょう。
お風呂が使えなくなる
ゴミがある状態でお風呂を使っていると、すぐに排水が詰まります。
詰まりの原因は、髪の毛や小さなゴミ。詰まりを取り除こうと割り箸などで突いた結果、排水管の中で割り箸が折れ、詰まりが悪化していることも多いです。
トイレが使えなくなる
トイレにゴミを置き始めると、最終的にはゴミで埋もれて使用できなくなります。
シミュレーションのまとめ
どのような経過をたどるかは別として、ゴミ屋敷になってしまうと健康にも悪影響を及ぼしますし、火災や転倒などの危険も伴います。また、近隣への迷惑も見過ごせないものとなるでしょう。
元気なうちから、自分の老後なども意識しながら、快適な住まいを維持する仕組みについて考えておくことが大切だと思います。
予防法1:ゴミ出しの仕組みを作り、習慣にする
当たり前のことですが、ゴミ出しがしっかりできればゴミ屋敷にはなりにくいでしょう。
そこで、まずはゴミ箱を準備します。
ここで、「えっ、そんなのあるよ」と思われるかもしれませんが、実際に片付けの仕事をさせていただくと、適切な容量、適切な数のゴミ箱のないことが引き金となったのではないか、というケースが多く見られます。
裸のゴミ袋にゴミを溜めていくスタイルは、効率的なようで、ゴミを見慣れてしまう欠点があるため、絶対に避けるべきです。
①適切な容量、適切な数のゴミ箱を用意する
・ゴミや資源の種類、ゴミ出し日(曜日・日にち・間隔等)を市のホームページで調べ、どのくらいの大きさのゴミ箱がいくつ必要かを調べ、適切なものを用意します。
・毎回ゴミ出しするのであれば、次のゴミ出し日までにちょうど良い大きさにしてください。このゴミ箱が一杯になったら必ずゴミ出しをする、という大きさで決めても良いとは思いますが、なるべく毎回ゴミ出しはした方が良いので、この方法は、あまりオススメしません。
・乾電池や使い捨てライターなどの小さいものは、手持ちの小さな空き箱でOKです。
・ダンボール用にゴミ箱を用意しようとすると、とんでもない大きさになってしまいますから、必要ありません(畳んでどこかの隙間に入れておき、そこそこの量になったら紐で縛るか、大き目のダンボールに畳んだダンボールを順次差していけばOKです)。
②ゴミ出し日がわかるようにしておく
ゴミ箱の準備ができたら、ゴミ出し日がわかる仕組みを作ります。
アナログな方法なら、ゴミ出し日をゴミ箱に書いておけばOKです。
デジタルな方法なら、スマホのアプリを使えば良いでしょう。
③ゴミ出しを習慣にする
ゴミ出しの仕組みができたら、あとは実行あるのみ。
人間は習慣の生き物です。まず、1ヶ月続けてみてください。すると、徐々に習慣化してくるはずです。
予防法2:無駄な買い物を減らす
ゴミ屋敷になってしまう物理的な原因は、ゴミや物の出口が詰まり、入り口が開きっぱなしだからです。
ゴミ出しが習慣になり出口ができれば、次は入り口を全開の状態から、少し絞ります。
つまり、無駄な買い物を減らせば良いわけです。
落ちている物を拾ってきてはいけないのは、言うまでもありません。
予防法3:収納・掃除をする
ゴミ出しができ、無駄な買い物が減れば、それほど苦労しなくても収納できるようになっていくはずです。
最低限の目標は、床に物が散乱していない、どこに何があるかわかる、何かをこぼしたら拭く、ホコリが積もっていない、あたりです。
なかなかできない場合は、定期的な来客を計画すると良いでしょう。
友達を部屋に招く予定があれば、どうしても片付けなければいけなくなります。
どう頑張っても自分ではできない場合は、定期的に業者に片付けてもらうことも考えます。
とんでもない量のゴミを溜め込んでから業者を呼ぶよりも、ずっとマシです。
予防法4:精神的、肉体的なケア
もともと片付けができた人が、徐々にできなくなっていくのは、精神的・肉体的な問題によるところが大きいのではないでしょうか?
ストレスを溜めすぎない
私ごとで恐縮ですが、仕事が忙しくてたまらなかった時、片耳が聞こえなくなったり、声が出なくなってしまったことがあります。医者には「なるべくストレスを減らすように」と言われ、仕事の量を減らしたり、「どうせ、できることしかできないんだから」と思うようにしてストレスをコントロールした結果、かなり効果がありました。
ストレスを溜めすぎないことは、とても大切です。
適度に運動する
適度な運動は、体力の維持だけでなく、ストレス解消にも効果があるようです。
忙しい中でも、最低限の運動はしたいものです。
予防法5:高齢の方、障がいをお持ちの方のために
高齢になると、誰でも、徐々に片付けられなくなってきます。
そういった場合は、遠慮なく人の力を借りましょう。
生活援助(家事援助)サービスを利用する
介護保険の要介護認定、障がい福祉サービスの家事援助の支給決定を受けている場合は、掃除や洗濯、調理などの生活援助(家事援助)に関するサービスを、格安で利用することができます。
ゴミ出し日に合わせてサービスを利用すれば、もちろんゴミ出しもしてくれます。
一人暮らしのお年寄りの場合は、定期的な見守りにも効果的です。
ゴミ出し支援制度を利用する
高齢者等のゴミ出しを支援している自治体もあります。お住いの自治体がサービスを提供しているかどうか、お調べになってみてください。今はサービスをしていなくても、徐々に拡大していく方向にあると思います。
ちなみに、名古屋市では「なごやか収集」という名称でサービスをしています。
【名古屋市のなごやか収集】
名古屋市が収集する家庭ごみや資源を、所定の排出場所まで持ち出すことが困難な方々を対象に支援するもので、原則として市がご自宅の前に出されたごみや資源を直接、収集にお伺いします。
以下のいずれかに該当し、親族や近くの人達の協力を得ることが困難で、一人でごみや資源を持ち出すことができない方が対象となります。
・要介護認定を受けていて、65歳以上の一人暮らしをしている方
・身体障害者(身体障害者手帳所持者)で一人暮らしの方
・精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者)で一人暮らしの方
・知的障害者(愛護手帳の所持者)で一人暮らしの方
子供と話し合っておく
まだ元気なうちに、子供たちと将来について話し合っておくのは、とても良いことだと思います。
自分に体力や判断力がなくなってきた時に、どうして欲しいのかについて希望を伝えておいたり、財産、大切なもの、貴重品などについても共有しておけば、何かあっても比較的安心です。
一人になったら友達と暮らす?
妻が言っていたのですが、私が死んで一人になったら、友達と暮らすそうです。それって、なかなか良い案だと思いませんか?
どちらの家で暮らすのか、費用負担はどうするのかなど、ハードルはありそうですが、仲の良い友達と助け合って暮らすのは、双方にとって大変良い影響がありそうです。どこかの会社が運営しているシェアハウスを友達同士で利用できないか、調べてみても良いかもしれません。
まとめ
ゴミ屋敷になってしまうと、ご本人だけでなく、ご家族や隣近所にお住いの方も大変な思いをすることになります。
そうなってしまわないよう、ゴミ出しの習慣、ストレスなどのケア、支援を受ける仕組みなどを考え、実践していきたいものです。
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片付けトントンは、ゴミ屋敷・汚部屋の片付けを承っています。自力で片付けるのが難しい場合は、お気軽にお問い合わせください。サービスエリアは愛知県内(一部地域を除く)です。
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