従業員に貸していたお部屋が大変なことになってしまったために、会社の方から片付けのご依頼をいただくことも、ちょくちょくあります。
今回は、元従業員に貸していたアパートを片付けた時の心温まるお話です。
お見積り
あと数日で新年という年の瀬に、一本のお電話がありました。
ワンルームなんだけど、ホームページにあるような状態の部屋で、どれくらい費用がかかるものなのか知りたい。
新年に向けて自分の机の整理でも(しぶしぶ?いやいや?)するか、と思っていたくらいでしたので、時間は十分にあります。
すぐにでもお見積りにうかがえますが…と言ってみました。
「助かる、一度見てほしい」
今にも雪が降り出しそうな雲行きです。
教えていただいたアパートに到着し、しばらくすると、お問い合わせくださった方が歩いてお見えになりました。
会社の社長さんで、この近くにお住まいだそうです。
ウチの会社で働いていた人に貸していた寮代わりの賃貸なんだけど、辞める時「このまま住みたい」と頼まれてね。
住むところに困るのもかわいそうだし、そのまま貸してたんだよ。
辞める人に引き続き会社の寮を貸すなんて、とっても優しい方です。
家賃は、ずっと手渡しで毎月ちゃんと払ってくれていたんだけど、ここ2~3ヶ月前から滞り始めたかな。
忙しかったのでそのままにしていたけど、久しぶりに電話でもしてみるかと思って、かけてみたらつながらない。
合いカギは持っていたので、なにかあったのかとアパートに行ってみてびっくり!ゴミ屋敷はTVの中だけの世界だと思っていたよ…
玄関扉を開けると、床から膝丈くらいまでゴミやモノが積み上がっています。少し踏み固められていて、ちょっと片付けにくそうな印象です。
【玄関360°ビフォー写真】(Internet Explorer 、一部のスマホで見ることができない場合があります)
ゴミやモノの高さは奥に行くほど高くなっていて、リビング入り口の扉は堆積したモノが引っ掛かって開きません。
20cmほどの隙間からなんとか覗いてみると、缶やコンビニの袋などが、高いところで1mぐらいまで積み上がっています。
【リビング360°ビフォー写真】
社長さんが最初に様子を見に来た時、まさかゴミ屋敷のようになっているとは想像もしなかったでしょうから、相当ビックリなさったはずです。
窓際にくぼみがあって、こちらからは下の方が見えないだろ?
もしかしたらそこで…と、よからぬ想像をしてしまって、リビングの扉のスキマから何度か声を掛けてみたよ。「いるか?」って。
そのすぐあと、いろんな人に聞いてみて、なんとか本人とは連絡がついた。そこは本当に良かったけど、部屋をこのままにしておくわけにはいかないし。
片付け費用の支払いについては、ご本人と話し合うとのことなので、見積り金額を出させていただいた後、とりあえず会社に戻りました。
・・・
その日の夕方過ぎに、お電話がありました。
「少し予算的に厳しい。清掃も込みで少しディスカウントできないか?」と具体的な金額をご提示くださいました。
なかなか厳しい金額ですが、道はありそうです。
当初は、なるべく早く片付けてほしいとのことでしたが、年始のスケジュールが詰まり気味です。「1月一杯の片付け完了、動画の撮影もさせていただくということではいかがでしょうか?」とお願いしてみました。
結果は、無事にご成約!ありがとうございます。
作業1日目(分別、ゴミ出し)
初日の出動スタッフは6名。2日間で片付けと清掃を完了させる予定です。
1名が運搬、2名が廊下を担当し、残りの3名はリビングの扉の隙間から室内へ滑り込むようにして入っていきました。
廊下のスタッフは、ゴミ出しの動線確保のため、一刻も早くリビングの扉を全開にする必要があります。
とにかく、掘って掘って、掘りまくりました。
頑張った甲斐があって、比較的早い段階で、扉は8割以上開きました。
洗濯機付近の衣類や雑誌、ペットボトルや缶を取り除くと、下の方からはライター・小銭・電池など、こまかなモノがたくさん出てきました。
こまかいモノが多いと、やはり分別に時間がかかります。ちょっと苦戦しましたが、なんとか午前中のうちに、あらかた目処が立ちました。
午後からリビングの片付けに合流すると、なにやらスタッフに不穏な空気が・・・。
2002年の新聞や郵便物があったことから考えて、このお宅は約20年もののようです。
下に行くほど踏み固められてカチカチで、モノとゴミがミルフィーユ状に絡み合っています。
「不穏な空気」の原因は、これでした。
これは手ごわい!予定していた2日間では間に合わないかも!
営業担当としては、めちゃくちゃ焦ります。中身入りのペットボトルが、けっこうたくさんあったのも計算外でした。
その後、ひたすらゴミ、ペットボトルや缶などを分別・袋詰めし、床がほとんど見えるようになりました。
小銭・電池・ライターもたくさん出てきました。小銭は1円玉と5円玉がほとんどで、それよりも金額の大きな硬貨はほとんどありません。
ゴミの回収業者が来るまでには、なんとか分別・袋詰めを終えることができ、初日の作業は終了です。
あらかた荷物は出し切ることができましたが、最終日(4日後)の予定人数は、たしか3人だったはず。
ひょっとして、無理じゃね?
ワンルーム全体の清掃、結構手強そうなキッチン・ユニットバスの清掃、あと懐の深い物置スペース、廊下と玄関…
「片付けスタッフに負荷がかかりすぎるし、ご満足いただける清掃レベルギリギリになっちゃうかもなぁ」
あれやこれや、悶々としながら帰路に着きました。
どこかで少し清掃を進めた方がいいかもしれない…会社に着くころには、その方向で考えが固まっていきました。
幻の2日目作業(ひとりぼっちの水遊び)
当初予定の作業日前に、タイミングよく現場近くの見積りが入りました。幸いカギはお借りしているので、10時に見積り⇒すぐ近くなので11時には現場に入れます。
このタイミングで行かずに、いつ行くの?今でしょ!状態でした。
良かった~!
見積りも問題なくこなし、現場に向かいます。
手強そうなユニットバス(浴室・トイレ・洗面が一緒になっているタイプ)を少しでも清掃して、後日の作業に余裕を持たせることにします。
「終わるかどうかわからない現場作業を前倒しできる」と思うと、かなり気分は軽く、むしろウキウキです。
しかもユニットバス!トイレも、気兼ねなくシャワーの水で洗い流せます。
気分は水遊び?
仕上げ具合にこだわらず、とにかく今日はざっくりキレイにしていきます。
こういう作業は、性格的に大好きです。
2時間ほどユニットバスにこもって作業しましたが、なかなかいい感じに汚れを落とすことができました!
誰にも言わずにコッソリやった「幻の2日目作業」。あぁ、これで最終日の作業に(安心して)気持ちよく望むことができます。
作業3日目(清掃)
出動スタッフは3名。私もメンバーとして参加します。
壁に付着したタバコのヤニ、窓に溜まったホコリ、キッチンや床にこびりついた汚れなど、なかなか手強いですが、何としても今日中に退去できるレベルにまで仕上げます!
出てきたライターと吸い殻の量からして、かなり吸っていらっしゃったようですが、ホコリを払うと、天井は予想外に白くてビックリ!
一方、板張りの壁は拭くたびにタオルが黄色くなり、何度も何度も拭きあげて、ようやく合格ラインに達しました。
床は、カーペットや布団が敷かれていなかった部分にはダメージがありましたが、できる限り汚れを落としました。
キッチンを担当した竹内は、「ゴキブリのフンやタバコのヤニがこびりついていて苦労した」と言っていましたが、見違えるほどキレイにすることができました。
キッチンの錆や、お風呂に染み込んだ汚れなど、落としきれなかった箇所もありましたが、時間内に何とか仕上げることができ、ホッとしました。
ビフォーアフター
スッキリ!ビフォーアフターの写真をご覧ください。
玄関
キッチン
お風呂
リビング
片付けを終えて
「幻の2日目作業」は、念のためやっておいて良かったと心底思います。
たった2時間のことですが、のびのび気兼ねなくユニットバスを清掃するのと、最終日に時間に追われて清掃するのとでは、気持ちの余裕が全然違います。
それに、その2時間でできた余裕で、清掃レベルを引き上げることができたのも良かったです。
やって大正解でした。
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作業終了後、社長さんに立ち会っていただいた時にお聞きしたのですが、元従業員の方は「2年間くらい部屋に戻っていなかった」とのことでした。
その間、ずっと家賃を払い続けていらっしゃったわけですから、本当にもったいない話です。
そういえば、電気料金も水道代もずいぶん安かった気がする。もっと早く気がつけばよかった。
本人は、「人に貸していたら、こうなってしまった」と言っていたが、たぶん違うよね、あんな状態になってしまっては、言い出しにくい気持ちもわからんでもないよな。
あいつ、これならまた住みたいって言うかな…
最後まで元従業員の方のことを心配していらっしゃるご様子に、とても温かな気持ちになりました。
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よろしかったら、こちらのブログもご覧ください。
https://kataduke-tonton.com/voice/29460/
https://kataduke-tonton.com/voice/23996/
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詳細は、「ゴミ屋敷片付け・掃除ページ」をご覧ください。